抄録
65歳女性.自己免疫性肝炎による肝硬変の診断にて他院通院中.平成23年4月,食道静脈瘤破裂,難治性腹水にて当院紹介.大量の腹水,食道静脈瘤,著明な脾腫,傍臍静脈シャント,さらに2か所に脾動脈瘤を認め,脾門側の動脈瘤は脾静脈へ穿破し脾動静脈瘻を形成していた.脾動静脈瘻が門脈圧亢進症増悪の原因と考えられたため,動脈瘤を含めた脾臓摘出術を検討したが,大量腹水と反復する肝性脳症,肝予備能から外科的治療は困難と判断された.内科的治療にも反応せず症状が増悪したため,経動脈的に脾動脈瘤,動静脈瘻を塞栓した.脾膿瘍,敗血症性ショックを併発したが,脾膿瘍ドレナージ術にて改善した.その後,肝性昏睡を繰り返すため傍臍静脈シャントに対してバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を施行し短絡路を閉塞した.腹水,食道静脈瘤,肝性脳症共に改善し,現在外来通院中である.