2016 年 22 巻 2 号 p. 133-138
門脈圧亢進症があり,腹腔鏡下(HALS)脾摘術を施行した21例を対象に巨脾症におけるHALS・自動縫合器による脾門部一括処理による腹腔鏡下脾臓摘出術の有用性を検討した.脾体積500 ml以上を巨脾(MS)群,脾体積500 ml未満を対照(C)群に分類した.MS群はC群と比較し,術前Child-Pughスコア高値(p=0.0015),BMI高値(p=0.0009)であった.またMS群はC群と比べ,平均脾体積が大きく,手術時間が延長する傾向(p=0.0630)にあり,出血量が多かった(p=0.0178).門脈圧亢進症によるHALS・脾門部一括処理は大きな合併症なく施行でき,容認されると考えられるが,巨脾に対しては肝機能も悪い症例が多く,脾臓の取り回しが困難となり,出血量が多くなり,注意を要すると考えられる.