2017 年 23 巻 4 号 p. 268-274
症例は40歳代,男性.Budd-Chiari症候群を合併した原発性胆汁性胆管炎として,当院外来通院中であった.腹水コントロールおよび食道静脈瘤治療目的に入院加療を繰り返していた.食道静脈瘤は周辺粘膜を含めて瘢痕化するも,狭細化した静脈瘤より出血を繰り返し,内視鏡治療に難渋するようになった.右肝静脈および中肝静脈が完全に閉塞し,左肝静脈も狭細化していることが,門脈圧亢進症に大きく影響していると判断され,画像上で唯一開存していた左肝静脈の拡張術を行った.術後に肝予備能と食道静脈瘤の著明な改善を認め,腹水も消失した.腹水の増悪および再発性食道静脈瘤破裂を繰り返していたものの,左肝静脈のみの拡張術後に門脈圧亢進が解除され,良好な経過をたどった病態であり報告する.