2020 年 26 巻 1 号 p. 13-21
脾臓肝臓相関,ならびに門脈圧亢進症における脾臓の位置づけ,3D-CTによる側副血行路評価の有用性について検討した.脾臓/肝臓体積比(S/L ratio)の正常値は0.1前後であり,年齢や体格の影響を受けることなく脾肝相関を反映する有効な定量的指標になりうると思われた.また,3D-CTによる側副血行路評価と組み合わせることで門脈圧亢進症の全容を把握しうるものと思われた.門脈圧亢進症性消化管病変に対しては,出血制御に終始するのではなく,今こそ積極的に脾臓制御に介入すべきであろう.巨大脾腫に至る前にS/L ratioを評価し,この値を正常値に近づけるよう治療介入を考慮していきたい.