2026 年 32 巻 1 号 p. 25-34
近年,肝硬変患者における潜在性肝性脳症(covert hepatic encephalopathy:CHE)を診断する必要性が高まっている.本研究の目的は,実臨床においてCHEと関連する新たな因子を同定することである.17施設の肝硬変患者402人を登録し,CHEの診断のためにStroopテストを実施した.多変量解析において,血清25(OH)D3の低値(p<0.05)および食道静脈瘤(EV)の存在(p<0.05)がCHEの独立因子であることが明らかとなった.検査項目を血液検査因子のみに限定した場合,血清アルブミン低値(p<0.01)および血清25(OH)D3低値(p<0.05)がCHEの独立因子であった.CHEを予測するための血清アルブミンおよび血清25(OH)D3の至適カットオフ値は,それぞれ3.7 g/dlおよび16.5 ng/mlであった.
血清25(OH)D3値および血清アルブミン値の低値,ならびにEVの存在は,肝硬変患者におけるCHEの発症と有意な関連を認めた.特に,血清25(OH)D3値の低下に伴ってCHEの有病率が上昇しており,こうした危険因子を有する患者は,CHEの存在について積極的に検査をされるべきである.