2026 年 32 巻 1 号 p. 35-41
直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)の進歩により代償性肝硬変患者や合併症を併存する非代償性肝硬変でも高率にウイルス学的著効(SVR)が得られるようになった.一方で,非代償性肝硬変患者におけるSVR後の食道静脈瘤(EV)の変化に関する報告は少ない.本研究は,代償性・非代償性肝硬変患者243例に対してDAA治療前およびSVR獲得後に上部消化管内視鏡検査を施行し,EVの形態変化を明らかにすることを目的とした.その結果,SVR後にEVが改善した症例は11.9%,不変は73.3%,悪化は14.8%であった.SVR12のアルブミン・ビリルビンスコア(ALBIスコア)が不良であることは,EVの悪化および新規発症に対する独立因子であり,それぞれの予測におけるALBIスコアのカットオフ値は-2.33および-2.65であった.したがって,SVR達成後もALBIスコアが不良な患者はEVの悪化や新規発症のリスクが高く,定期的な内視鏡的評価が推奨される.