日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
門脈圧亢進症を背景とした肝硬変合併症診断における血清亜鉛値の有用性
浪崎 正松田 卓也増田 泰之小泉 有利佐藤 愼哉鍛治 孝祐吉治 仁志
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2026 年 32 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

潜在性肝性脳症(covert hepatic encephalopathy:CHE)は,肝硬変患者の生活の質(QOL)および予後を悪化させる可能性がある.本研究では,CHEのリスク因子を解析し,治療介入による恩恵が期待される高リスク患者群を特定した.過去に顕性肝性脳症(OHE)の既往歴または治療歴のない145例を対象とした.患者をCHE群(n=91)および非CHE群(n=54)に分類し,ストループテストおよびナンバーコネクションテスト(NCT)を用いて診断した.CHEの有病率は62.8%であり,CHE群では血清亜鉛およびアルブミン濃度が有意に低値を示した.多変量ロジスティック回帰分析により,血清亜鉛濃度74 μg/dl未満が独立したCHE予測因子であることが示された.血中アンモニア濃度および肝機能予備能はCHEの予測因子とはならなかった.亜鉛軽度欠乏は,OHE既往のない肝硬変患者におけるCHEの発症と関連しており,血清亜鉛測定は神経心理学的検査による早期診断を促進する可能性がある.

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