2026 年 32 巻 1 号 p. 75-79
症例は40歳代,男性.既往歴:特記なし.X-8年,X-5年に門脈・上腸間膜静脈血栓症に伴う腹痛で入院となった.血栓症の原因ははっきりしなかったが,カテーテル治療後にエドキサバンを投与し近医にてフォローしていた.X年,定期検査にて肝・胆道系酵素の上昇および黄疸を認めた.造影CTにて胆管周囲の側副血行路の著明な発達と,それに伴う胆管圧排を認め,閉塞性黄疸と診断した.入院後,内視鏡的逆行性胆管造影にて,総胆管の蛇行,部分的な狭窄を認め,胆管静脈瘤による閉塞性黄疸と考え,ENBDチューブを留置した.その後ERBDチューブに交換し退院となった.退院後ERBDチューブ交換の際に胆管静脈瘤破裂に伴う胆道出血を来した.出血に対してENBDを留置し,抗血栓薬の調整を行い止血が得られた.以後数か月ごとにERBDチューブを交換し胆管炎や胆道出血を認めず経過している.胆管静脈瘤に伴う閉塞性黄疸に対する治療法は確立されていない.今回,門脈血栓症から生じた胆管静脈瘤により閉塞性黄疸を来した症例を経験したため報告する.