日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
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食道胃静脈瘤急性出血例に対する内視鏡的静脈瘤結紮術による治療法の検討
千葉井 基泰鈴木 博昭
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1997 年 3 巻 2 号 p. 159-162

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抄録
食道胃静脈瘤急性出血例に対して内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) を施行し, 緊急EVLの治療効果を検討するとともに, その限界につき考察を加えた.過去4年間の食道胃静脈瘤急性出血74例のうち治療を行った57例 (77%) の内訳は, EVL36例 (63%), EIS21例 (37%) であった.食道静脈瘤急性出血に対するEVLの止血方法は, 出血部位を直接結紮した症例21例 (72%), 出血部位が確認できず螺旋状に結紮した症例が8例 (28%) であった.胃静脈瘤急性出血に対するEVLは7例に施行し, EVLを出血部位および周囲に結紮したのちAS-EISを追加した.緊急EVLにより1週間以上止血が得られた継続的止血率は, 食道100%, 胃72%であった.緊急EVLは食道静脈瘤急性出血に対しては高い止血能を有したが, 胃静脈瘤急性出血に対しては, EISや経血管的治療法との併用を要する症例も認められた.緊急EVLは食道胃静脈瘤急性出血に対する治療に貢献し止血法として活用されるものと考える.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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