抄録
胃静脈瘤 (GV) に対する予防的TJOの是非について治療成績から検討した.対象はTJO施行GV34例中予防27例で, 原疾患は肝硬変症19, 肝癌7, 慢性肝炎1例で, 年齢は58±8歳, M/F=16/11である.使用硬化剤量はエタノール5.7±3.7ml, 5%EOI12.4±7.1mlであった.肝機能検査値はAlb (g/dl) 前3.0±0.4, 後3.1±0.4 (NS), T.Bil (mg/dl) 前1.6±0.8, 後1.3±0.6 (NS), ICG15 (%) 前41±18, 後29±16 (p<0.05), NH3 (μg/dl) 前103±57, 後67±30 (p<0.05) であった.GV消失率は100%で, 脳症併存4例は術後全例改善した.累積生存率は1年96%, 5年69%であったが, 累積食道静脈瘤発生率は1年39%, 5年58%であった.現時点におけるGVに対する予防的TJOの絶対的適応はシャント脳症併存例にあり, シャント脳症非併存例においても食道静脈瘤硬化療法と一体化するという条件のもとで予防的TJOの相対的適応は成立しうるものと思われた