日本門脈圧亢進症食道静脈瘤学会雑誌
Online ISSN : 2187-1213
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内視鏡的食道静脈瘤硬化療法用装着バルーンの食道静脈瘤血流遮断効果の検討
-カラードプラ超音波内視鏡を用いて-
坂本 仁西田 均熊野 雄一青柳 有司石井 誠三田村 圭二
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1998 年 4 巻 3 号 p. 328-335

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抄録
食道静脈瘤硬化療法に使用する内視鏡装着バルーンの食道壁内静脈瘤血流 (壁内血流) の遮断効果と食道壁穿通枝の関連を検討した.食道静脈瘤合併門脈圧亢進症29症例を対象に, 装着バルーン送気後 (送気後) の壁内血流の変化を, カラードプラ超音波内視鏡観察により検討した.送気後の壁内血流消失例 (消失群) は8例27.6%, 壁内血流減少例 (減少群) は10例34.5%, 壁内血流不変例 (不変群) は11例37.9%であった.消失群の全例に穿通枝は描出されなかった.Pipe line varices症例を除く減少群と不変群の計18例中13例72.2%に穿通枝が描出され, その内7例 (7/13 : 54%) で穿通枝は流出性であった.静脈瘤の内視鏡所見, 肝機能のChild-Pugh分類, 他の側副血行路の有無と壁内血流の遮断効果との間に関連はなく, 食道壁外静脈瘤血流量 (壁外血流量) スコアが各群間で有意な相関を認めた.血流遮断効果は穿通枝の有無と関連があり, 壁外血流量スコアが高い例では穿通枝が発達し, 送気後壁内血流が消失し得ないと推察された.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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