日本門脈圧亢進症学会雑誌
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難治性腹水に対する腹腔-静脈シャント術の有用性の検討
坂本 友見子古田 一徳星野 弘樹片桐 寛之板橋 浩一渡邊 昌彦
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2006 年 12 巻 3 号 p. 220-227

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抄録
保存的治療に抵抗性を示す難治性腹水は患者にさまざまな苦痛を与えQOLを著しく低下させる.このため腹水を大循環にかえす腹腔-静脈シャント術が施行されるが, その有用性や合併症についての多くの報告がなされており, 毎回手術時期の決定に難渋した.今回当院で腹腔-静脈シャント術を施行した13例について検討した.対象は1993年4月から2005年6月までに腹腔-静脈シャント術を施行した13例, 男性9例, 女性4例, 平均年齢61.3歳 (36-80歳) である.12例に術後体重腹囲の減少が見られ, 10例が退院可能となった.しかし術後7日以内の死亡が3例にみられた.腹腔-静脈シャント術は患者のQOL改善にはすぐれた手技であるが, 全身状態が悪化してからシャントを行っても効果が発揮されないため, 全身状態が安定している時期にシャントに踏み切ったほうが, よりQOLの改善に期待が持てると考えられる.
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