抄録
症例は75歳, 男性.1983年より真性多血症にて近医を通院加療していた.1998年8月に吐血を来し, 食道静脈瘤破裂と診断され当院紹介となった.入院後, 血管造影, MR angiographyでは門脈血栓や肝外門脈血栓を認めなかった.食道静脈瘤はLsF3CbR (C3+) を認めEVLを施行しF0となった.しかし, その後腹水大量となり, また4カ月後にはF2の静脈瘤再発を認めたためにTIPSを施行した.TIPS後, 腹水は完全消失し静脈瘤もF0へと改善した.肝性脳症等の合併症は認めなかった.本症例における門脈圧亢進症の原因として脾における髄外造血により門脈血流量が増大, 肝での髄外造血巣による血行障害が関与していると考えられ, TIPSを施行したことにより改善したと考えられた.