日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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アルコ-ル性肝硬変に合併した小腸静脈瘤破裂出血に対してTIPSが奏効した1例
佐々木 剛鈴木 正徳海野 倫明遠藤 公人片寄 友松野 正紀小熊 徹彦菊池 淳
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2000 年 6 巻 3 号 p. 161-165

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抄録
症例は51歳男性.繰り返す下血で発症し, 血管造影で小腸静脈瘤の存在を確認したため, 門脈圧亢進症に伴う小腸静脈瘤破綻からの消化管出血と診断した.門脈圧減圧を目的に経皮的肝内門脈肝静脈短絡術 (TIPS) を施行したところ, 約8カ月後に臨床所見ならびに診断画像上, 小腸静脈瘤の消退が認められた.肝硬変に合併した小腸静脈瘤からの消化管出血に対する効果的な治療法は未だ確立されてはいないが, 出血量の減少と重篤な状態への移行を阻止し, 全身状態のすみやかな改善を図る必要がある.Firstchoiceとして低侵襲性治療であるTIPSを門脈圧の減圧を目的に選択し, 奏効した症例を中心に本疾患の治療体系を考えたい.
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© 日本門脈圧亢進症学会
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