日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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胃静脈瘤の血行動態と治療
近森 文夫国吉 宣俊渋谷 進河島 孝彦高瀬 靖広
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2002 年 8 巻 2 号 p. 115-122

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抄録
門脈血行マップ上, 食道静脈瘤 (EV) は門脈-奇静脈系から, 孤立性胃静脈瘤 (GV) は門脈-横隔静脈系から構成される.正常解剖において存在する下横隔動脈の左噴門枝に伴走する静脈は, 門脈圧充進に伴い発達拡張し胃腎シャントを形成する.下横隔静脈は心嚢静脈や下大静脈と交通するので, 当然それらのルートの発達した症例も存在する.EVにおいてもこのルートは当然存在するが, 主排血路とはならない.GVの主要供血路としては左胃静脈70%, 後胃静脈70%, 短胃静脈25%が関与し, 主要排血路は胃腎静脈シャント85%, 胃横隔静脈シャント10%, 胃心嚢静脈シャント5%の3型に分類できる.EVには内視鏡的治療が, GVにはカテーテル的治療が適応となり, endoscopic IVR surgeryなる治療コンセプトを提唱する.
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