日本門脈圧亢進症学会雑誌
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食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤結紮術の意義と適応
吉田 寛田尻 孝真々田 裕宏谷合 信彦平方 敦史川野 陽一水口 義昭清水 哲也高橋 翼
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2002 年 8 巻 3 号 p. 185-188

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抄録

内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) の意義と適応を検討した.対象は, 初回にEVLを施行した80例で, 後日EVL追加した34例 (EVL群) と後日1%ASによる内視鏡的硬化療法 (EIS) を追加した46例 (EVL+EIS群) の2群に分類した. (EVL, EVL+EIS) (mean±SD) (1) 完全消失率 (94.1, 93.5%) (NS), 治療回数 (2.5±0.5, 3.1±1.0回) (p<0.005), 総結紮数 (22.1±8.2, 13.2±4.9) (p<0.0001). (2) 累積初回再発率は有意にEVL群で高率 (p<0.05). (3) 再発例 (30例, 36例) (NS) に対する追加治療再入院回数 (1.8±0.6, 2.9±1.2回) (p<0.0001).うち手術, 塞栓術を追加例 (3例, 12例) (p<0.05) であった.EVL群では再発率は高率だが, 少ない追加治療回数にてコントロール可能であった.-方EVL+EIS群は, 内視鏡治療の限界例が多かった.EVLは, 当初より再発を念頭にいれ, 追加治療も含めて一連の治療法と考えれば, 良好な長期成績が得られ, first choiceの治療法になりうる.

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