日本門脈圧亢進症学会雑誌
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胃全摘後, 5年目に食道静脈瘤破裂をきたした1例
鈴木 毅村田 宣夫三橋 敏武橋本 大定釜野 剛町田 喜久雄
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2002 年 8 巻 3 号 p. 205-210

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抄録

胃全摘後に発生する食道静脈瘤は, 稀であり, 空腸静脈からの血流を主とし, 治療に難渋する症例もみられる.今回, われわれは, 残胃癌のため残胃全摘術を行った5年後に, 食道静脈瘤の破裂をきたした1例を経験した.症例は, 40歳の男性, 2000年10月に吐血, 下血のため近医を受診し, 食道静脈瘤破裂と診断され, 同日, 当センターを紹介された.内視鏡所見では, 食道空腸吻合部付近の静脈瘤からの出血を認め, 内視鏡的静脈瘤結紮術 (EVL) を行い止血した.後日, 門脈造影で門脈より空腸静脈から吻合部, 食道へ連なる静脈瘤を認めたため, 経門脈的塞栓術 (PTO) を行った.その後, 静脈瘤は消退し, 経過観察を行っていたが, 2001年8月頃より, 食道下部にtelangiectasiaを認めたため内視鏡的硬化療法 (EIS) を選択し治療した.肝炎抗体もすべて陰性で, 肝機能検査上, 画像診断上も肝硬変の所見を認めず, 比較的稀な症例として報告した.

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