2018 年 55 巻 1 号 p. 28-32
症例はvon Hippel-Lindau病の女児で,6歳時に全摘した右副腎腫瘍の組織所見より褐色細胞腫と診断された.13歳時に大動脈下大静脈間に傍神経節腫,多発骨転移再発を認めた.大動脈下大静脈間の腫瘤摘出後にcyclophosphamide-vincristine-dacarbazine療法を7コース施行したが効果を認めなかったため,自家造血幹細胞救済を併用した131I-MIBG(metaiodobenzylguanidine)大量療法を2回行った.大量療法後,血中カテコラミン値は正常化し,123I-MIBGシンチグラフィで多発骨転移巣の集積の低下を認め,治療後3年間の無増悪生存中である.131I-MIBG大量療法は切除不能な悪性褐色細胞腫に対して安全に施行でき,有効性が期待できる治療と考えられた.