2019 年 56 巻 1 号 p. 14-18
集学的治療の発展に伴い小児がんの生存率は飛躍的に改善し,小児がんサバイバーの長期QOLの向上が注目されるようになった.卵巣組織凍結保存は,月経発来前の小児がん患者にとって,唯一の妊孕性温存療法であり,この方法を用いて世界中で多くの妊娠・出産例が報告されてきているが,依然として研究段階の技術であるとされている.本稿では,小児卵巣組織凍結保存の現状,MRDのリスクに関する見解,組織凍結の方法(緩慢凍結と急速冷凍法)に関する課題,小児がん患者に対するインフォームドアセントの問題点に関して概説する.