2014 年 52 巻 3 号 p. 369-379
S状結腸内視鏡検診(SS)の有効性は, 最近報告された無作為化比較対照試験(RCT)により決定的となった。SSを実施することにより, 大腸癌死亡率は全体で20~30%, 遠位大腸では30~50%の低下を示したが, それより深部の大腸では有意な差を認めなかった。罹患率についても概ね同様の効果を示した。これらRCTにおける穿孔の発生は稀であり, わが国の報告では117,644件のSSで穿孔は発生していなかった。全大腸内視鏡検診(TCS)については, 症例対照研究やコホート研究により大腸癌罹患率や死亡率低下を示唆する結果が得られている。これまで右側結腸の効果を認めないとする報告が多かったが, 最近では右側結腸の効果を示唆する研究が報告されている。TCSに関するRCT結果は未だ得られていないものの, 複数のRCTが進行中であり, 今後の展開が期待される。