腎明細胞肉腫CCSK,腎ラブドイド腫瘍RTK,再発腎芽腫など極めて希少な疾患では,臨床試験に必要な症例数を集積すること本邦単独では困難である.従って,これら超希少疾患の治療研究を行うには国際的な多施設臨床試験に参加することが必要である.日本ウィルムス腫瘍研究グループ(JWiTS)はこれまで米国National Wilms Tumor Study (NWTS)-5に準じた臨床試験を行い,米国の臨床試験結果と遜色ない治療成績が示された.その後米国の臨床試験はChildren’s Oncology Group(COG)に引き継がれ,低・中・高リスクと両側性の4つのプロトコールに分かれて臨床試験が開始されている.JWiTSの研究は今まで米国の臨床試験に追従する形で行われてきたが,米国COGの新しい治療研究では1pと16qのLOHが層別化に用いられ,リスク別に細分化されるなど本邦の事情に合致しない点が問題となる.一方昨年から開始されたSIOPのUMBRELLAプロトコールは小児腎腫瘍を包括的に扱う形の臨床試験で特定臨床研究として本邦で行うのに適しており,多数の国から参加しやすい形で実施される.また本邦と欧州の腎芽腫の生物学的な相違を明らかにすることも期待できるため,JCCGの腎腫瘍委員会では今後SIOPのUMBRELLAプロトコールに参加する方向で準備を進めている.