日本小児血液・がん学会雑誌
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教育セッション7: 造血細胞移植
小児急性白血病の移植成績改善に向けた新しい試み
梅田 雄嗣
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2021 年 58 巻 2 号 p. 103-110

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抄録

第1・第2寛解期に同種造血細胞移植が施行された小児急性白血病症例の全生存率は60–70%であるが,第3以降の寛解期や非寛解期に移植が施行された症例の全生存率は30%未満と不良であり,移植後再発を減少させる対策が必要である.さらに,移植後長期生存者では骨髄破壊的前処置で使用される高線量全身放射線(TBI)や大量抗がん剤,または慢性GVHDに関連した晩期合併症が問題となる.移植後再発を減らすために移植前処置を強化しても,合併症死亡が増加するため移植成績の改善は期待できない.そのため,移植前残存腫瘍量の減少,移植後再発の予防または早期治療介入を目指した様々な治療が試みられている.また,高線量TBIまたはbusulfanを避けた毒性減弱前処置による晩期合併症の減少も長期的な移植成績の向上に寄与すると考えられる.これら移植前後の治療法選択や治療効果判定には,精度の高い微小残存病変の測定が必須である.

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© 2021 日本小児血液・がん学会
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