日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
シンポジウム6: 非腫瘍性血液疾患診療のupdate
自己免疫性溶血性貧血と先天性免疫異常症
大和 玄季
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 58 巻 3 号 p. 240-244

詳細
抄録

自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia: AIHA)は後天性溶血性貧血のなかで最も高頻度にみられる溶血性貧血である.AIHAは赤血球表面膜上の抗原と反応する自己抗体が産生されることで抗原抗体反応による溶血が起こり,溶血性貧血をきたす自己免疫疾患である.次に,原発性免疫不全症は免疫系における免疫担当細胞または免疫担当分子の異常によって生じる先天性疾患の総称とされている.個々の疾患として既に430種類以上が確認されている.単一の遺伝子異常による遺伝病であることが多いため,近年は先天性免疫異常症(inborn errors of immunity: IEI)と称されるようになってきた.また,AIHAはIEIの初発症状としても注目されており,AIHAを合併しやすいIEIとしてcytotoxic T lymphocyte antigen-4(CTLA-4)異常症やlipopolysaccharide-responsive beige-like anchor protein(LRBA)欠損症などの疾患が報告されている.本稿ではCTLA-4異常症およびLRBA欠損症を中心にAIHAを合併するIEIについて概説する.

著者関連情報
© 2021 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top