2023 年 60 巻 1 号 p. 61-64
症例は12歳男児.持続する咳嗽があり,胸部X線撮影で縦隔拡大を認め,入院となった.胸部CTで前縦隔に13 cm大の腫瘤と,左主気管支の狭窄を認めた.鎮静に伴う気道閉塞のリスクが高く,局所麻酔下に前胸部に突出した病変から針生検を施行した.線維性組織に炎症細胞浸潤を認めたが,腫瘍性病変としての確定診断は困難であった.生検後,腫瘍は増大し,リンパ腫,肉腫を想定した化学療法を先行した.その後,腫瘍は縮小したため,全身麻酔下に開放生検を施行したが,前回同様の病理所見であり,確定診断は困難であった.腫瘍は再増大し,PET-CTを施行したところ腫瘍の一部に集積を認めた.開胸下に強く集積した部位から生検したところ,大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.Oncologic emergency症例の生検は時に診断困難であり,画像診断情報を踏まえ,安全性と確実性を備えた総合的な生検のプロトコールの確立が必要である.