2026 年 63 巻 2 号 p. 164-171
びまん性橋膠腫(DIPG)は小児に発生する予後不良な脳幹部腫瘍である.近年,寡分割放射線治療(HFRT)やレディオミクス解析などの新たな治療法,評価法が報告されている.本研究は,DIPG患者27例を対象にHFRTの有効性とレディオミクス解析などによる予後因子の検討を目的に実施した後方視的単施設研究である.有効性評価項目は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)であり,予後因子検討では患者背景因子およびレディオミクス特徴量のOSへの影響を評価した.11例が男性で診断時年齢(中央値)は6.2歳であり,23例がHFRTを受けた.HFRT群および通常の放射線治療(CFRT)群のOS(中央値)はそれぞれ9.0ヵ月と9.6ヵ月であった.OSに有意に影響する患者背景因子は腫瘍サイズ(連続変数)のみであり,腫瘍サイズ別の3つのサブグループでは,腫瘍サイズが大きい群でOSが長い傾向がみられた.一方,OSに有意に影響するレディオミクス特徴量は見出せなかった.HFRTを受けた患者のOSはCFRTを受けた患者と同程度であり,治療期間を1ヵ月短縮することができるHFRTを初期治療に選択することは患者の負担低減につながる.診断時の腫瘍サイズがOSに影響することが示唆されたが,MR画像に基づいたレディオミクス特徴量には影響するものがなかった.DIPGの予後因子のニーズは高く,さらなる研究が望まれる.