2020 年 11 巻 12 号 p. 1353-1356
目的:頚椎歯突起骨折は近年の高齢化と共に増加傾向であり,当院では麻痺を認める場合は手術治療を行っているが,麻痺がない場合は保存治療を行っている.今回,当院における高齢者歯突起骨折の保存治療後の生存率,頚部痛,歩行機能等について報告する.
方法:対象は,2013年以降の急性期歯突起骨折例で,65歳以上に限定した.頚部痛はVAS,歩行機能は頚髄症JOAスコアの下肢運動機能の項目(range:0~4)を用いて評価した.
結果:症例は12例(男性9例,女性3例)で,治療開始時年齢は平均78.8歳であった.骨折型はAnderson分類IIが5例,IIIが7例であった.保存治療において,頚椎カラーによる外固定が8例,ハローベストによる外固定は4例であった.経過中死亡例は3例であった.頚部痛のVASは平均0.5,下肢運動機能の頚髄症JOAスコアは平均2.5であった.