2021 年 12 巻 6 号 p. 819-824
慢性腰痛患者における腰痛visual analogue score(VAS)と椎間板T2値,多裂筋と大腰筋の筋細胞内脂肪(intramyocellular lipids:IMCL)および筋細胞外脂肪(extramyocellular lipids:EMCL),脊柱骨盤アライメント,腰椎可動域の関連について検討した.腰痛VASはL4/5の後方線維輪のT2値と有意な負の相関(r=-0.49,p<0.01),多裂筋のIMCLと有意な正の相関(r=0.51,p<0.01),腰椎前弯角と有意な負の相関(r=-0.41,p<0.01),sagittal vertical axisと有意な正の相関(r=0.42,p<0.01)を認めた.L4/5の後方線維輪周囲の豊富な神経支配,IMCLの増加にともなう炎症,脊柱後弯による椎間板への負荷,筋内圧の上昇,筋虚血などが慢性腰痛の一因であると考えられた.