2022 年 13 巻 7 号 p. 910-914
はじめに:びまん性特発性骨増殖症(DISH)患者における骨折は癒合椎では不安定型骨折を生じることが多い一方で,非癒合椎では安定型骨折が多いと報告されている.本研究では癒合椎体の位置関係に注目し,QCTを用いてDISHの椎体内骨密度を領域別に検討した.
対象と方法:QCTによる骨密度評価を行ったDISH群20例とControl群32例を対象とした.骨密度はDISH群では癒合椎体中間部,癒合下端椎体,下端隣接椎体,非癒合椎体の高位別に評価しControl群では,それぞれ対応する椎体の高位で測定した.
結果:QCTによる椎体内骨密度は,癒合椎体中間部と非癒合椎体の骨密度は前方領域においてDISH群が有意に低値であったが,癒合下端椎体と下端隣接椎体では2群間で椎体内骨密度に有意差は認められなかった.
結語:癒合椎体中間部での前方骨密度低下は,靭帯骨化により応力が分散したためと考えられる.本研究ではレバーアームの影響を強く受ける癒合下端椎体と下端隣接椎体では見られなかった前方骨密度低下を非癒合椎体で認めており,非癒合椎体での前方骨密度低下と骨折の関連が示唆された.