2023 年 14 巻 1 号 p. 38-44
はじめに:当院では頚椎の様々な病態に対し,ハイブリッド手術室を利用し,さらにガイドワイヤーを併用して,頚椎椎弓根スクリュー(CPS)を挿入している.今回,その経験につき若干の文献的考察を含め報告する.
対象と方法:2018年から2021年に頚椎後方固定術を施行した25例(男性15例,女性10例,平均年齢73.2歳),合計110本のCPSを対象とし後ろ向きに調査検討した.
手術方法:まず,ナビゲーション下に,ガイドワイヤーを目標の軌道上に約1 cm刺入し,3D透視画像で深度および軌道を確認する.確認後,更に約1 cm進め椎体内に到達させる.そして,ドリリングおよびCPS挿入を,このガイドワイヤーを通じ行う.術後CT画像を用いて,スクリュー逸脱度をNeoらの分類により評価した.Grade 2または3を臨床的逸脱と定義した.
結果:臨床的逸脱は1本(0.9%)に認められたが,これに関連した合併症は認められなかった.また,術中3D透視画像取得回数は3.6回であったが,患者1名あたりの術中被曝量は許容範囲内と考えられた.
結語:本法は,術中患者被曝の点で改良の余地があるが,より正確なCPS挿入を実現できる有用な方法である.