2024 年 15 巻 6 号 p. 833-838
はじめに:経時的なSchmorl結節(Schmorl's node;SN)のサイズ変化とModic change(MC)の変化,および腰痛との関連を検討した.
対象と方法:2004年から2020年までに腰椎MRIを撮影し2年以上の経過で再評価可能であった症例(検討①),および,筋・筋膜性,椎間関節性,骨性,椎間板性,神経原性など腰痛の原因が特定できず,SNまたは随伴するMCが腰痛の主因と疑われた症例(検討②)を対象とし,SNとMCのMRI所見を比較検討した.
結果:(検討①)最終観察時,135人SN総計321椎間中,縮小58椎間(18.0%),不変164椎間(50.9%),増大65椎間(20.2%),新規発生34椎間(10.6%),消失1椎間(0.3%)であった.このうち,縮小例,増大例,新規発生例ではMC+が有意に多かった(P<0.05).一方,不変例ではMC-が有意に多かった(P<0.001).(検討②)最終観察時,27人SN65椎間中,縮小14椎間(21.5%),不変30椎間(46.2%),増大16椎間(24.6%),新規発生5椎間(7.7%)であった.このうち,MC1を有するSNとMC-のSNを比較すると,MC1を伴うSN増大例とSN新規発生例が占める割合はMC-の場合と比較して有意に多かった(増大例:MC1;53.3%,MC-;17.6%,新規発生例:MC1;26.7%,MC-;0%)(P<0.05).
結語:増大あるいは新規発生するSNはMC,特にMC1の発生と関連しており,腰痛を長期化させる病態への関与が示唆された.