2024 年 19 巻 2 号 p. 121-128
【目的】アドバンスケアプランニング(ACP)の実践には医療者,患者それぞれに障壁があることが指摘されている.ACPの話し合いを導入する職種は主に医師であることから,本研究では,がん診療連携拠点病院に勤務する医師がACPの実践において感じている困難を明らかにすることを目的とした.【方法】がん患者に対してACPを実践している医師10名を対象に半構造化面接を行い,Graneheimらの質的内容分析の手法を参考にして分析した.【結果】ACPにおける困難として,患者のレディネス不足,医療者のレディネス不足,コミュニケーションの齟齬,ACPの評価指標の欠如,職業倫理とのジレンマ,医療・社会システムの不備の六つが抽出された.【結論】患者,医療者それぞれにACPに対するレディネス不足があり,そこに起因するコミュニケーションの齟齬や協働する仲間の不在に,医師は困難を感じていた.