Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
トラマドール速放製剤から徐放製剤への切り替えで疼痛が増強した小腸ストーマ患者の1例
白石 朝子 井手 飛香鍋島 直美橋本 玲亜木村 恵藤井 有沙近藤 貴子安髙 久美子塚田 順一
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2024 年 19 巻 4 号 p. 245-249

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抄録

小腸ストーマ患者のオピオイドの薬物動態およびオピオイドスイッチングに関する報告は少ない.今回われわれは,小腸ストーマを有する40歳の男性に対し,トラマドール速放製剤の1日4回内服から24時間徐放製剤の内服へ切り替えを行ったところ鎮痛時間の短縮と疼痛の増強を認めた例を経験した.健常成人では1日4回内服と24時間徐放製剤の内服では血中濃度の差に変化はないとされているが,本症例では徐放製剤が有効に機能するための小腸通過時間の確保や吸収能力が不十分であった可能性が示唆された.小腸ストーマ造設患者ではより細やかな投薬調整が必要であると考えられた.

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© 2024 日本緩和医療学会

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