2024 年 19 巻 4 号 p. 279-284
本研究は緩和ケアの専門家が不在の地域における継続的な緩和ケアアウトリーチの訪問看護師への影響を検討した.われわれは宮城県登米市で,2018年7月から緩和ケアアウトリーチ活動を行っており,訪問看護師への影響を検討するため,活動開始時と2年後の緩和ケアに対する困難感,自信・意欲,活動の有用性について自記式質問紙調査を行った.対象は登米市の訪問看護師とした(回答者数:活動開始時39名,2年後24名).困難感尺度,自信・意欲尺度の変化は統計学的有意差を認めなかった.活動が有用であると評価した割合は66.7%であった.自由記述の内容分析から,終末期ケアに対する視野が広がり,自信が向上したことが示唆された.緩和ケアアウトリーチは訪問看護師の困難感軽減,自信の向上に有用な可能性があるが,地域全体に影響するには中長期的な活動が必要と考えられた.