2025 年 20 巻 2 号 p. 95-102
目的:がん患者の呼吸困難へのコルチコステロイド全身投与の有効性を検討する.方法:CENTRAL, MEDLINE, EMBASE, 医中誌を用い,2019年9月23日までに発表された全文献を検索した.主要評価項目は,患者報告による呼吸困難強度,副次評価項目は生活の質(quality of life: QOL),せん妄,重篤な有害事象とした.結果:4263件中2件の無作為化比較試験を採用し,メタ解析を行った.コルチコステロイド群はプラセボ群より有意に呼吸困難を軽減した[平均差:−0.71, 95% confidence interval (CI): −1.4~−0.03].2件中1件は肺病変を伴うがん患者を対象とした試験だった.QOLとせん妄のメタ解析はデータ不足により実施できず,重篤な有害事象の発生率に有意差を認めなかった(相対発生率:0.96, 95%CI: 0.19~4.93).結論:コルチコステロイドはがん患者の呼吸困難に有効である可能性があるが,その適応は限定的である可能性がある.