Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
主治医による死亡確認や臨終の立ち会いが, 家族の心理に及ぼす影響についての調査研究
新城 拓也森田 達也平井 啓宮下 光令佐藤 一樹恒藤 暁志真 泰夫
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 5 巻 2 号 p. 162-170

詳細
抄録

本研究は, 主治医が終末期がん患者の死亡確認を行うことや臨終に立ち会うことが, 家族のつらさと医師の対応への改善の必要性に影響するかを明らかにすることである. 2007年, 95のホスピス・緩和ケア病棟の遺族670名を対象に質問紙調査を行った. 全体の73%の遺族が回答した. どの医師が死亡確認を行うか, 医師が臨終に立ち会ったかは家族のつらさとは関連がなかった. 一方, 死亡確認と立ち会いは, 医師の対応への改善の必要性とは有意な関連があった. しかし, 医師が「臨終に立ち会ったこと」と, 「立ち会えなかったが, その日は頻繁に部屋に来ていた」ことの間には, 医師の対応への改善の必要度に有意差はなかった. したがって, 家族は主治医の死亡確認や, 臨終の立ち会いを望んでいるが, もし死亡確認や立ち会いができなかったとしても, 心理的なつらさが強まることはなく, 臨終までに頻繁に部屋に行くことで十分な対応であると考えていることが示唆された. Palliat Care Res 2010; 5(2): 162-170

著者関連情報
© 2010 日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top