抄録
がん死亡および全死因の都道府県別自宅死亡割合と関連のある医療社会的指標を地域相関分析により明らかにする. 2010年の人口動態統計に基づく都道府県別自宅死亡割合と人口・世帯, 経済, 医療福祉などの各種統計指標を二次解析した. 探索的因子分析により指標を分類し, それを基に新たに作成した合成変数を用いて重回帰分析を行い, 自宅死亡割合との関連を検討した. 因子分析により3つの指標群に分類し, 「過疎高齢化」「病院施設リソース」「在宅医療へのアクセス」と命名した. この結果を用いて重回帰分析を行い, がん死亡と「在宅医療へのアクセス」に, 全死因と「病院施設リソース」「在宅医療へのアクセス」に有意な関連がみられた. がん死亡では「在宅医療へのアクセス」の良さが自宅死亡に強く影響し, 全死因では病院病床数などの「病院施設リソース」が少なく「在宅医療へのアクセス」が良い都道府県で自宅死亡割合が高い傾向にあった.