Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
メサドンへの段階的なオピオイド変更が有用であった1例
阿部 克哉久永 貴之東端 孝博稲津 和歌子木内 大佑萩原 信悟下川 美穂志真 泰夫
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2014 年 9 巻 3 号 p. 511-515

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抄録
【緒言】わが国でのメサドンの使用は, 先行する強オピオイドからの変更に限られており, 先行オピオイドを中止してメサドンを開始するstop-and-go (SAG)法が推奨されている. 【症例】悪性腸腰筋症侯群による難治性疼痛に対し, モルヒネとケタミンの併用からメサドンにSAG法で変更した. 一時的に疼痛が増強したが, モルヒネの再開と約2週間の併用によって疼痛緩和を得た. 【考察】本症例のように疼痛コントロールが不良でメサドンに変更する場合には, 段階的に置き換える方法がSAG法よりも有用であると考える. メサドンは, 過量投与の問題を考慮して少なめに開始するのが安全であり, 疼痛の増強を回避するためには, より柔軟な初回投与量の設定や用量調節の検討が必要と考える. 併用している鎮痛補助薬をメサドンへの変更時に継続する妥当性, 特にNMDA受容体拮抗作用がメサドンと重複するケタミンを継続することの妥当性については, 今後も議論を深める必要がある.
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© 2014 日本緩和医療学会
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