主催: 周産期学シンポジウム抄録集
会議名: 周産期学シンポジウム:21 世紀の周産期医療システム:問題点と展望
回次: 21
開催地: 東京都
開催日: 2003/01/17 - 2003/01/18
p. 79-85
厚生労働省により「周産期医療のシステム化」プロジェクトが全国的規模で進められており,総合周産期母子医療センター,および地域周産期母子医療センターと地域の医療機関が有機的に連携できる体制が求められている。本プロジェクトを効率よく運営するには,医療施設間相互に,また妊娠中から新生児期までを通して,スムーズな情報伝達システムを確立する必要がある。日本産婦人科医会情報処理検討委員会においては,将来の周産期医療情報の電子化,すなわち“電子カルテ”とその“ネットワーク”による運用を視野に入れ,平成6年に周産期管理における文字情報,数値情報に関する記録法の標準化,さらに平成10年には胎児心拍数情報記録の標準化に取り組んできた。これを受け,香川医科大学周産期医学講座では,早くから周産期医療情報の電子化共通規格化とその記録媒体である光カードの実用化に取り組んできた。その結果,日母光カード標準フォーマットが完成し,その情報をネットワーク上で伝送するシステムを開発した。
開始当時は診療情報の電子媒体への記録はもちろん,ネットワークを介しての医療情報の伝送,保存に関して法的な裏付けが十分でなく,このような取り組みに関して懐疑的な意見も少なからず見受けられた。
しかしながら平成11年4月に,厚生省労働省が電子媒体よる診療録の保存(電子カルテ)を認め,さらに平成14年3月に,診療録等の保存を行う場所(ネットワークによる医療情報の外部保存を許可)を認めるに至り,電子カルテの実用化に対して大きく舵が切られることとなった。
現在光カードシステムは,平成10年度の香川県のモデル事業として,香川医大母子センターと地域の基幹病院産婦人科を結ぶ周産期電子カルテネットワークとして発展している。この電子カルテでは,妊娠管理だけではなく,入院から,分娩,新生児経過まで,すなわちすべての周産期情報を扱う機能をもっており,データのグラフ表示機能や検索機能はもちろん,ネットワークで接続されている医療機関は相互に,瞬時に情報を交換できるようになっている。
香川県では現在8ヵ所の医療機関の電子カルテがネットワークで接続され,ハイリスク妊娠の母体搬送対応など周産期医療の向上に威力を発揮している。
本稿では周産期の領域を中心に,電子カルテとそのネットワーク化の重要性に関して,香川県をフィールドとして行われているプロジェクトを解説し,その母体搬送時における役割を考察する。