主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:母体・胎児・新生児の心肺機能低下時の反応と対応
回次: 24
開催地: 埼玉県
開催日: 2006/01/20 - 2006/01/21
p. 95-100
はじめに
超低出生体重児では出生時のヘモグロビン濃度が,生存予後に重要な因子の一つである1)。1901年にSchiffは臍帯結紮のタイミングと児のヘモグロビン濃度の関係について報告している2)。また,1940年代より成熟新生児を対象に循環血液量を測定して臍帯の後期結紮が出生時の循環血液量を増加させることが報告されている2)。1993年,Kinmondらは早期産児を対象に臍帯の後期結紮はヘモグロビン値の上昇,赤血球輸血量の減少と酸素投与期間の短縮を報告した3)。Rabeらのメタアナリシスの結果では,臍帯の後期結紮は早期結紮と比較して出生後4時間でのヘマトクリット値の増加と,低血圧に対する輸血の減少および頭蓋内出血のリスクの軽減が示された4)。しかし超低出生体重児では蘇生のために十分な後期結紮が行えないことが指摘されている5)。これに対して萬本らは蘇生に影響をおよぼさない手技として超低出生体重児を対象に臍帯のmilkingを導入し後方視的検討を行った。その結果,milking群では有意に出生時収縮期血圧の高値と頭蓋内出血の減少を報告している6)。
今回,我々は超低出生体重児の出生が予想される際,臍帯のmilkingを行い,生後早期の呼吸循環に対する効果と合併症について前方視的に検討したので報告する。