周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第32回
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シンポジウム午前の部:Late preterm
産科的に考察したlate preterm児の長期予後
大場 智洋
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p. 79-84

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抄録

 背景

 近年,早産児の新生児治療は目覚ましい発達を遂げており,重篤な胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)や妊娠高血圧症候群などの場合には,正期産を待たず,late preterm(LP)に人工早産にするほうが母児への危険を回避できるとの考えのもと管理が行われる。一方,LP児は正期産と比較し,短期的な児の予後は変わらなくとも,長期的にみると,発達障害のリスクが高いと報告されており1〜3),産科医は,そのような出生児の発達予後をも考慮して,分娩時期を検討することが求められている。

 しかし,LP児は正期産と比較し,FGRなどの発達予後に有害となる周産期事象をもつ症例が多く,そのこと自体が児の悪い予後と直接関連している可能性があり,LPに早産すること自体の問題が正確に検討されていないおそれがある。そこで,われわれは有害な周産期事象がない場合,LP児と正期産児の発達予後は同等であると考えた。

 本検討の目的は,LP児の発達予後に有害となる出生前後の周産期リスク因子を明らかにし,それらの背景の頻度に違いがない場合,LP児と正期産児の発達予後に大きな違いはないことを明らかにすることである。

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© 2014 日本周産期・新生児医学会
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