周産期学シンポジウム抄録集
Online ISSN : 2759-033X
Print ISSN : 1342-0526
第5回
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シンポジウム II:妊娠 30 週未満の分娩方法をめぐる諸問題
妊娠30週未満の分娩の取り扱い――主に産科的対応を中心として――
吉原 一吉田 耕太郎源田 辰雄田所 義晃浅井 仁司植野 信水根本 荘一巽 英樹西島 正博島田 信宏新井 正夫
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p. 118-128

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抄録

 総括

 妊娠30週未満で分娩した児の予後に対する産科的要因の関与を調べるために,昭和46年から昭和60年末までに北里大学病院産科で扱った妊娠30週未満の分娩217例中,単胎生産例144例を対象にして検討を行った。出生後に死亡した例は,144例中60例で死亡率は42%であった。妊娠週数26~27週以上,出生体重1,001~1,500g以上,1分娩後のApgar score 5~7点以上の例で児の予後の著しい改善が認められた。対象全体について児の予後と産科的要因の関連を調べたところ,Apgar score 4点以下,破水分娩時間23時間以内の例が死亡例に有意に多く,妊娠週数,出生体重,胎盤重量は生存例で死亡例に比べ有意に大であった。各分娩様式別に検討してみると,経腟頭位分娩群では全体と同じであったが,経腟骨盤位分娩群ではApgar scoreと側切開の有無で児の予後と有意な関連を示した。帝切群ではApgar scoreのみであった。

 次にこれら産科的要因が児の予後と有意な関連をもつ出生体重と妊娠週数のcritical pointを調べてみたところ,頭位分娩例では1,001g以上,26週以上であった。骨盤位帝切分娩例では1,001g以上,28週以上であった。これらの値は我々産科医が妊娠30週末満の分娩を取り扱う場合の一つの指標になると考えられた。

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© 1987 日本周産期・新生児医学会
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