日本義肢装具学会誌
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特集2 手のスプリントを創る―原点,今,そして未来へ
スプリント作製に必要な解剖学的視点
—上肢末梢神経障害を例にとって—
園畑 素樹馬渡 正明
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2014 年 30 巻 2 号 p. 82-84

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抄録
上肢スプリント作製には,病態生理と機能解剖の把握が重要である.上肢神経障害を例にとると,正中神経の障害である手根管症候群では母指球の萎縮により「猿手」と呼ばれる変形を認める.しかし,母指球全体が萎縮するわけではない.母指球を構成する筋肉には尺骨神経支配の筋肉も存在する.また,尺骨神経麻痺では「鷲手」と呼ばれる変形をきたす.鷲手変形では環指・小指DIP・PIP関節の屈曲とMP関節の過伸展を認める.病態の本質は,環指・小指の虫様筋の麻痺によるMP関節の過伸展であり,その結果としてDIP・PIP関節の屈曲が生じる.上肢疾患の病態生理,機能解剖の熟知により,より機能的であり患者のコンプライアンスの高いスプリント作製につながると考える.
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© 2014 日本義肢装具学会
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