霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: A-19
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口頭発表
後期中新世ナカリ(ケニヤ)出土の小型狹鼻猿
*國松 豊中務 真人仲谷 英夫辻川 寛山本 亜由美酒井 哲弥沢田 順弘
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抄録
従来、中新世の東アフリカからは、多様な小型狭鼻猿類が報告されてきた。これらの小型狭鼻猿類は、小型中新世「類人猿」とも呼ばれたが、現生のヒト上科、オナガザル上科のどちらかと特に強く結びつけるような特殊化が見られず、これらふたつの上科が分岐する以前に位置する原始的な狭鼻猿類ではないかとも言われている。そのため、近年は、やや冗長ではあるが、より慎重に「非オナガザル上科小型中新世狭鼻猿類(non-cercopithecoid small Miocene catarrhines)」と呼称されることが多い。これら東アフリカの小型狭鼻猿類は、大型中新世類人猿とならんで、中新世前期から中期初頭の化石産地からは知られていたが、中新世なかば(1400~1500万年前)以降、化石記録に現われなくなっていた。
ケニヤの東部大地溝帯沿いの化石産地であるナカリ地域において、2005年1月~2月、日本隊によって大型類人猿化石とともに、小型狭鼻猿の下顎片が発見された。この小型狭鼻猿は東アフリカ小型中新世狹鼻猿類の中でも小型の部類に入る。化石を含む地層の年代は40Ar-39Ar年代と古地磁気層序から990万~980万年前と推定されている。このナカリ標本は、現時点ではアフリカにおける小型中新世狭鼻猿類の最後の生き残りである。また、最近、正式な記載は未発表ながら、ナカリ地域の南西約80kmに位置するトゥゲン丘陵のンゴロラ累層(1250万年前)の動物相にも小型狭鼻猿類が含まれているという報告がある。従って、東アフリカにおいて、従来考えられていたよりも遅く、中新世後期初頭まではオナガザル上科以外の小型狭鼻猿類も生息しつづけていたと考えられる。彼らが絶滅するのは、少なくとも1000万年前以降であり、800万~700万年前頃に起きた草原性環境の拡大と関連する可能性が考えられる。
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© 2006 日本霊長類学会
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