2016 年 32 巻 2 号 p. 102-109
国内統計における高齢下肢切断者と義足装着の実数は,身障手帳取得者,更生用義足申請数が報告されているが,①身障手帳未取得,②医療用義足の非装着,③義足歩行未習熟の内実が明示されない限り,障害実態は不透明である.高齢者の下肢切断は循環障害によるものが多数を占め,円滑な義足装着が困難であることを,多くの医療従事者は知っている.しかし,その中にも義足装着で歩行獲得を果たす者は存在する.そして切断者自身の訴えがきっかけとなり,義足未経験者が歩行を獲得する実例が散見される.そもそも義足は高齢者に有用なのか.可能性を見過ごさず,有用なツールとするための課題は何か.行政と現場の報告より再考する.