2017 年 33 巻 3 号 p. 163-169
住み慣れた町で暮らしたいと願う補装具使用者にとって,補装具の不調は身体の不調と同様の緊急事態であり,修理や新規処方などの迅速な対処と不調を未然に防ぐ方略が求められる.地域包括ケアシステムに補装具見守りを定着させ保守の自助·互助を促していくことで職種間·事業所間の知識のばらつきを抑え,情報·意見交換を促すことができ,道具として圏域の実情に即したチェックリストや連携ノートが有用と考えられる.自助·互助の充実を支援·拡大し,適用する制度や住所地による支給内容の違いを埋めるために,公助·共助として立法·行政による医療·介護·福祉がより一体化した包括的ケア体制に向けた法整備や予算配分が求められる.