女性心身医学
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育児生活のコーチングが褥婦の情緒的側面に及ぼす影響
藤本 薫島袋 香子高橋 真理
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2006 年 11 巻 3 号 p. 243-249

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抄録
本研究の目的は,育児を初めて行う母親に育児生活を過ごすためのコーチングを試み,コーチングが母親の情緒的側面に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は,正常な妊娠・分娩・産褥経過を過ごした初産婦44名(介入群23名,非介入群21名)である.介入群に対して,産褥3日,退院1週間,産後1ヵ月の3回に渡り育児生活のコーチングを実施し,産褥3日と産後1ヵ月に自記式回答による測定を行った.使用した測定用具は,1)state-Trait Anxiety Inventory Form-YのState(以下STAI-State),2) Self-Esteem (以下SE),3)褥婦の心配尺度Maternal Concerns Questionnaire (以下MCQ)である.2群別に産後3日と産後1ヵ月における変化を比較した.その結果,STAI-State得点では,非介入群のみ得点が高くなり,SE得点は,介入群のみ得点が高くなった.MCQ得点においては,介入群の得点が下降傾向,非介入群の得点が上昇傾向を示したが,有意差は認めなかった.従って,初めて育児を行う母親に産褥1ヵ月まで育児生活のコーチングを行うことは,母親の不安や育児に対する心配の軽減,また母親の自尊感情を高める効果を生むことが示唆された.
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© 2006 一般社団法人 日本女性心身医学会
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