2024 年 29 巻 2 号 p. 197-205
【目的】本研究では,一般大学生とアスリート大学生の月経随伴症状,月経観,月経に対するヘルスリテラシーの実態を明らかにし,比較検討することを目的とした.【方法】対象は,大学1~4年生であり,一般大学生51名,アスリート大学生37名とした.調査方法は質問紙にて,対象者の背景,月経随伴症状,月経観,月経に対するヘルスリテラシーについて尋ね,両者を統計的に分析した.【結果】月経随伴症状において,月経前,月経中に一般大学生の方がアスリート大学生と比較して月経随伴症状を有していた(月経前:痛み因子(p=0.023),集中力因子(p=0.019),行動の変化因子(p=0.026)/月経中:痛み因子(p=0.000),集中力因子(p=0.005),行動の変化因子(p=0.004),負の感情因子(p=0.034)).月経観では,「月経は自然なもの」に有意差を認めた(p=0.003).月経に対するヘルスリテラシーは有意差を認めず,一般大学生の方がSNSからの情報を得る者が多かった(p=0.002).【考察】一般大学生とアスリート大学生の決定的な相違の因子は,運動量であった.両者における月経随伴症状について,アスリート大学生は日々の運動により,β-エンドルフィンが上昇し痛みを和らげていること,さらに一般大学生よりもマインドフルネス特性が高く,痛みの抑うつ的反すうが緩和されていることが考えられた.また,これらの月経随伴症状の差が,月経観やSNSからの情報入手の差異につながっている可能性があると考えられた.