日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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リノレン酸合成酵素遺伝子のジーンサイレンシングに伴うDNAメチル化の分析
*高橋 恒太安彦 友美政田 正弘児玉 浩明
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p. 282

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抄録
 我々は、リノレン酸を合成する小胞体局在型ω-3脂肪酸不飽和化酵素(NtFAD3)のcDNAをタバコに導入して形質転換植物を作出した。しかし、その中に、野生株よりリノレン酸含量の少ない個体が見つかった。その個体について、ノーザン解析を行ったところ、mRNAの存在は確認できており、転写抑制型サイレンシング(TGS)による発現抑制ではなく、転写後抑制型ジーンサイレンシング(PTGS)様の現象によりNtFAD3の発現が抑制されていると考えた。PTGSと相関性のある現象として、導入遺伝子のコーディング領域のメチル化が多く報告されている。野生株(WT)、PTGSを起こしている株(S44株)、NtFAD3遺伝子を過剰発現している株(S24株)の葉からゲノムDNAを抽出し、メチル化感受性制限酵素処理とPCR法を用いて、メチル化解析を行った。まず、メチル化感受性制限酵素を用いて制限酵素処理を行い、続いて、内在性NtFAD3と導入遺伝子それぞれに対して特異的なプライマーを設計し、PCR法により目的領域が増幅するか確認した。その結果、導入遺伝子においては、S44株では、強いメチル化が確認され、S24株でもS44株ほどではないがメチル化が確認された。そして、内在性NtFAD3遺伝子については現在、検討中である。又、DNAのメチル化シトシンの分布・出現頻度を調べるため、bisulfite処理を用いた解析により更に詳細検討を加えている。
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© 2003 日本植物生理学会
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