日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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クラミドモナスのフォトトロピンを過剰発現させたアラビドプシスの解析
*小野寺 暁彦孔 三根望月 伸悦長谷 あきら
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p. 688

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抄録
高等植物では、光屈性や葉緑体定位運動、気孔の開口などの光反応が青色光受容体フォトトロピンによって制御されることが知られている。我々は、フォトトロピン類似の遺伝子が単細胞緑藻であるクラミドモナスにも存在することを見出し、その遺伝子の同定に成功している。今回我々は、クラミドモナスのフォトトロピン(Crphot)が、系統的に大きく離れたシロイヌナズナでも機能するかどうかを調べた。そのために、Crphotを35Sプロモーターの制御下で、シロイヌナズナのphot1 phot2二重変異体内で発現させ、親株である突然変異体で見られる葉の湾曲の回復を指標としていくつかのラインを選別し、導入したCrphotのmRNA及びタンパク質の発現の解析を行った。この結果から、葉の形状の回復程度とCrphotの発現量には密接な関連があることを確認し、発現量に従ってこれらのラインを高・中・低発現ラインとして分類した。これらについて青色光による光屈性の実験を行ったところ、高発現ラインでは光屈性反応が見られた。また、葉緑体定位運動についても、高発現ラインでは弱青色光による集合反応と強青色光による忌避反応の両方が回復していることが示唆された。一方、中・低発現ラインではこのような現象は見られなかった。こうした結果から、系統的に大きく異なる植物種間においても共通のCrphot情報伝達経路が存在していることが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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