日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

SYP22/AtVAM3の膜隣接領域へのペプチド挿入変異体の解析
*大友 一郎高橋 卓
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 706

詳細
抄録
 シロイヌナズナにおいて、葉の主軸および花茎においてのみ顕著に伸長の欠損した突然変異体[short stem and midrib(ssm)]を単離し解析した。遺伝子歩行によりその原因遺伝子を特定したところ、液胞膜に局在する syntaxin をコードするSYP22/AtVAM3であることが判明した。ssm変異体では、SYP22/AtVAM3の第6イントロンに34bpの欠損が起こり、短くなったイントロンがスプライシングされなくなっている。その結果、第6エクソン(= juxtamembrane domain)と第7エクソン(= transmembrane domain)の間に19アミノ酸のペプチドが挿入されたタンパクがコードされている。
 ssm変異体の遺伝学的解析から、SYP22/AtVAM3の最も相同性の高いホモログであるSYP23にエコタイプ間の多型があり、Landsberg型はssm変異体を相補できるのに対しColumbia型はできないことが判明した。すなわち、Columbiaエコタイプのバックグラウンドでのみ劣性1遺伝子変異の表現型が現れる。
 SYP22/AtVAM3を含む複数の syntaxin ホモログの遺伝子破壊株はいずれも配偶体致死になることから、このような変異体の存在は、植物における syntaxin ホモログの機能解析に大きなヒントを与えるものと考えている。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top